スパくんにおいて「サビ仕上げ」という場合、錆色のサビっぽい塗装ではなく、鉄板が実際に錆びている状態です。
鉄をお好きなお客様には、絶対にサビは困るとおっしゃる方と、サビの表情のお好きな方がいらっしゃいます。
「サビ仕上げ」をご希望の方はサビのお好きなお客様になりますね。
ただ、「サビ」と言っても、状態にはとても幅があるわけです。一枚のサビ板でも、場所によっての表情が違います。
どういったサビ板であるかは一任させて頂いておりますが、こちらの感覚で、「いい雰囲気」に仕上がるように、その都度表面の状態を調整しています。
具体的にどういう調整をするかは、一枚一枚サビ板の状態が違うのでその都度作業も違ってきます。
今回のサビの状態は左のとおりでした。
しっかりしたサビが入っていますが、表面の浮きサビは少なめです。色ムラの幅が若干大きく、少し荒々しい表情と言えます。
まず、調整する部分に霧吹きをして、ごく軽く柔らかいワイヤーブラシを掛けて洗うことにしました。
今回、抜き文字部分は溶断した際の焼けがいい雰囲気になっているので手を付けないこととします。
乾かしてから、ごくごく軽く柔らかいワイヤーブラシを掛けていきます。
ほんの少量の細かい浮きサビを作って全体に回すようなイメージです。
けっしてブラシをかけ過ぎないように、サビを落とし過ぎないように注意が必要です。
雨を降らせるようなイメージで霧吹きを掛けては乾かすことをくりかえし、浮きサビを落ち着かせます。
微調整のために歯ブラシなども使って仕上げます。
難しいのは、サビは自然のものだということだと感じます。
無理に錆びさせても意外と早々錆びないものです。
自然に出来たサビを、人が見て「いい雰囲気」にするにも、自然に任せるしか無い部分があるようです。
今回の仕上がりとしては、色ムラが落ち着いて、全体的に品が良くなったと思います。
微妙な違いではありますが、こういうことがクオリティにつながると考えています。